最高裁判所第二小法廷 昭和29年(オ)675号 判決
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〔要旨〕家屋賃借人が第三者との間に成立した物品販売営業共同経営契約(商品および陳列棚の提供や販売等は第三者が担当し、賃借人は賃借家屋の一部を店舖用に提供して、売上金の三・五%を取得する約旨又は販売は第三者が担当し賃借人が他から委託をうけて販売する目的で供給をうける商品および賃借家屋の一部を店舖用に提供して、売上金中より必要経費を差引した残余を折半して取得する約旨)に基き、対等の立場で右家屋の一部を第三者に使用させているときは、右使用関係の設定は、民法第六一二条の転貸と認めるべきである。
〔説明〕原判決は、家屋の賃借人である被告(上告人)が、甲および乙との間に、被告は本件家屋の一部を店舖として提供し、甲は製靴を商品に提供して右店舖でその販売を担当し、乙はその陳列棚を提供すると共に会計監査に当り、右営業から生ずる売上金の内三・五%を被告に、一・五%を乙に配当する外右売上金より仕入原価、営業上の交際費、電気料金その他の必要経費を控除して残余があればこれを甲の所得とすることとし以て三者共同して製靴販売業を共同して経営することを約し、右約束に基き開業するに至つたが、賃貸人たる原告から被告に対する本件家屋についての造作の禁止等の仮処分がなされたため、甲は原告と示談により原告から七万円の立退料をうけて退去したので右共同事業は廃業の止むなきに至つた。その後間もなく被告は、丙との間に、被告は本件家屋の一部を店舖に提供し丙は右店舗において被告が他から提供をうけるミシン機械類の販売を担当し、右売上金中より商品原価、交際費、電気料(月額の半額)、家賃その他の必要経費を差引き残余を丙と被告において折半する約旨でミシン類の委託販売事業の共同経営を約し右事業を継続したが丙が所在不明となるにおよんで廃業の止むなきに至つたとの事実を認定し、右事実に基き、「賃借人がその家屋の一部の使用権を共同事業経営のために他の共同経営者に提供し、以て右共同経営者との間に毎月該共同経営より生ずる売上金の内から一定の割合の金員の配当をうくべき旨を約した法律関係は、即ち家屋の賃借人がこれを他に転貸してこれが賃料の支払をうけると何等択ぶところがなく、賃借人は甲乙および丙に対し転貸したものと認むべく、これにつき賃貸人の承諾がない以上、無断転貸を理由とする賃貸人の解約申入の効力を認むべきであると判示して原告の被告に対する家屋明渡の請求を容認した。被告の上告理由は、右の原判示を違法とするにあるが、昭和二八年一一月二〇日第二小法廷判決(昭和二六(オ)一一号、集七・一一・一二一一頁)「建物賃借人が第三者との間の飲食店営業共同経営契約(調理販売は右第三者が担当し賃借人は場所什器等を提供して売上金の百分の五を取得する約旨)に基き自己と対等の立場において前記建物の一部を右第三者に使用させているときに、かかる使用関係の設定につき賃貸人の承諾がないときは民法第六一二条第二項の解除の原因となる」を引用して上告を棄却したものである。
(大場調査官)